機能分解
<発明の構成要件の整理<特許出願用書面の作成に必要な基礎的事項
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特許権の範囲は、特許請求の範囲の記載で決まります。
したがって、特許請求の範囲は、可能な限り少ない構成要件(数および限定)の組み合わせとして記載され、しかも、発明の特徴に関係のない事項が含まれていないことが望まれます。
しかし、特許請求の範囲の記載は、このような方針で作成された場合、ともすると不明瞭となり、特許権の範囲が曖昧となる可能性があります。
例えば、温度を検知するための素子としてダイオードが用いられることによって実現される装置の出願に際して作成される特許請求の範囲では、そのダイオードが多様な公知の素子で代替可能であっても、ダイオードと記載してよいのでしょうか。
ダイオードは、温度を検知するために備えられた素子の一例でしかないため、「ダイオード」に代えて「温度センサ」と記載する方がより望ましいことは容易に理解できると思います。
しかし、文言「温度センサ」は、ともすると、もっぱら温度検知を行うために開発される「専用のセンサ」と解釈され、特に、先行技術との対比や関連発明との異同を巡る反論や争いの過程では、一人歩きする危険性をはらんでいます。
したがって、このような場合には、「温度を検知する手段」という機能表現を採用することが望ましい対処となります。
それでは、どのような場合にも、機能表現を採用すれば、概念面で広い表現となるのでしょうか。機能表現は、該当する機能が世の中で実現される技術が少なくとも1つは公知技術として完成している場合でなければ、採用できません。
(例) 増幅器が世の中にない時点で「〜信号を増幅する手段」と記載された場合には、単なる願望を示すと解され、その願望を実現する技術的事項が構成として開示されていないと解釈されます。
しかし、増幅器が開発された後には、その増幅器が真空管、トランジスタ、ダイオードその他の如何なる素子で実現された場合も機能表現の範囲と解され、かつ増幅器の回路の方式が如何なるものであってもよいと解されます。
(例) 信号Aに信号Bを乗じる乗算器は、その乗算器によって実現される機能が「乗算」、「周波数変換」、「拡散処理」である場合には、それぞれ「信号Aに信号Bを乗じる(乗算)手段」、「信号Aの周波数を局発信号Bに基づいて周波数変換する(周波数変換)手段」、「信号Aに拡散符号Bに基づく拡散処理を施す(拡散処理)手段」と記述されることが望ましいのです。
(例) 電線上を流れる信号を帯域通過フィルタを介して監視し、その帯域通過フィルタの出力に特定の成分が含まれるか否かを判別することによって、その成分の源である回路や装置に対して該当する電線が接続されていることを検知する装置では、その帯域通過フィルタは、特許請求の範囲にそのまま記載されてよいのでしょうか。
このような場合には、「帯域通過フィルタ」は、「電線上を流れる信号から特定の成分を抽出する(炉波)手段」と記載する方がより一般的となります。しかし、この信号の成分が複雑な周波数スペクトラムを有する可能性がある場合には、「電線上を流れる信号に重畳された信号の周波数スペクトラムを検出する手段」と記載することによって、より広い機能表現とすることが望ましいと思われます。
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特許出願の手引き…技術者・発明家のために!